棚の上にある家族写真とドライフラワーを見ると、ブリュレは瞬きをしてから首を傾げて棚へと近づいた。合間に手を置き壁と棚の隙間を覗いたり、一段目の引き出しを開けて中の物をかき分けてみたり、床に膝をついて棚下を覗き込んでいる。しばらくすると立ち上がり、両手を顔へとつけて動きを止めた。カタクリは不可解な行動をする妹に近づくと細い体へと腕を回す。抵抗もなく収まった妹は未だ悩んでいる様子だった。
「どうした」
問いかけへの反応も鈍く、カタクリがブリュレの名を口にし返答を促すと、躊躇いがちに人形と単語が返された。
「人形?」繰り返したカタクリにブリュレが頷く。
「ここに飾って」
「ああ」
薄汚れた小さな人形を思い返し納得すると、ブリュレを抱え上げソファへと向かう。二人分の体重を支えて大きく沈み込んだソファから革とフレームの擦れる音が鳴った。そういえば、とカタクリが口を開く。
「ブロワイエも似た人形を持っていた」
うん、と小さな声が耳をくすぐる。ブリュレの顎に触れてカタクリは薄い唇を舐め上げる。
「どこで買ったか聞いておこう」
ほしけりゃ買ってやる、開いたブリュレの口を食みながらカタクリは甘やかした声を小さな舌の上に落としてみせた。腕の中でなすがままにブリュレが笑う。
「ありがとう、おにいちゃん」