人通りの少ない通路の奥、物置とすらまともに使われていない部屋。
「えっ?! こじろ、え?!」
「これはこれは」
稀代の錬金術師は、局員のちんぽをしゃぶっていた。
「んぶ♡ぅ、はふっ♡」
小次郎が姿をみせたときの局員の慌てようは哀れなものであった。いまだ気にせず己のものをしゃぶるパラケルススの髪を掴み、なんとか引きずり出そうとして、歯が当たった衝撃で射精してしまっていたのだから。びゅくびゅくと吐き出されたザーメンを顔に浴びながら、パラケルススは赤らんだ顔のまま潤む目を細めて、それを指で掬って舐めとっていた。あの、これは、としどろもどろになる局員に「気にするな」と開いたままと扉へ手をやると、頭を下げ駆け出し出てゆく。
そうして、青臭い部屋には小次郎とパラケルススだけが残された。
「お見苦しいところを。人払いをしておくべきでした」
「いやなに、気にされるな」
つとめて冷静な声色ではあるが、付着したザーメンを髪ごとしゃぶっているまま言われては流石に反応に困るというものだ。小次郎は懐からハンカチを取り差し出した。
「ああ、すみません……ですが、大丈夫です」
何が大丈夫なんだ。何が。と思わなくもないが、パラケルススは続けて「すべて口にしたいのです」と言う。どことなく脱力して小次郎は壁へともたれかかった。部屋にはパラケルススがザーメンを舐める音が微かに谺している。なかなかに異常な状況である。
「は——〜っ♡」熱い息が深く吐き出され、パラケルススの体が震えた。出来る限りを口に入れ終わったのであろう、魔術を結び身を清めてから僅かに乱れた服を整えている。それらをぼんやりと眺めながら、小次郎はこの部屋に足を踏み入れる原因となった男の登場を待つ。「ところで」だがあの男が時間通りにくるのかとなれば微妙なところだ。そもそも小次郎も“約束の時間”を守る方ではないのだ。「もののついでなのですが」剣を振るっていたら、言われた時刻から三刻ほどすぎていたのもざらにある。
「ミキシンサーヴァントのよしみ、一つ相談にのっていただけないでしょうか」
粟の咲き乱れた暗い部屋、小次郎の待ち人いまだ来らず。
本当に突然襲ってきたのです。目が覚めて、とか、そういった区切りすらなく、ふいにやってきました。ある実験の最中でして、あなた方のためにもなるものですよ。意図して呪いに浸した骨は、スキル上げに使用できるだけの凶骨になり得るのかというものでして……いまのところは、まだ、ですね。ふふ、そうですね。骨の変化を記録していると、ふっと心に沸いてきたんですよ。ああ、精液が飲みたい、と。おかしな話でしょう? 私も最初は困惑しました、実験疲れなんてものも珍しく考えてしまいましてね。その日は早めに切り上げて眠りにつこうとしたのですが、どうにも眠れない。喉が渇いてしようがなく、水を飲んでも満たされない。実験の影響の疑いもありましたが、どれだけ調べても原因が分からない。どうしようもないので、マスターに頼んで一度レイシフト先で死んできましたよ。ええ、それです、キメラやケンタウロスに殺されたときの。ええ。ええ。なかなか出来ない経験でしょうね、あなたはキメラに殺されたことは? そうですか。あの爪で引き裂かれると、混乱して、キメラがどうにもいとしいものに思えてきますよ。ですが人それぞれかもしれませんね。キメラに殺されたサーヴァントに聞いてみたのですが、それぞれ反応は違いましたので。あ、そうです、ええ、ご存知の通り、我々は死んだところで座に還ることがありませんし、何よりあらゆるステータスの異常が解除された状態でここへと戻ることができます。ですから私の、気の触れた欲求も、死んでしまえばなくなるものかと。ふふ、ご覧の通りですね。それからは忍耐の時間でしたよ。当たり前じゃありませんか、私だって耐え忍んではいましたよ……まあ、そう、ですが……。あなたのおっしゃるとおり耐えきれず、システム管理が終わった局員を捕まえて無理矢理に口淫をしました。申し訳ないことをしたと思っていますよ……ですからその局員の記憶は消してあります。それからはしかるべき手順を踏んで、局員の方から恵んでもらっているわけです。この部屋も、先ほどの方から教えてもらいまして、それ以来ずっとお世話になってますね。ええ、それなんです。このようなことおおっぴらにやれるはずもない、その通りです。しかし止める術がないのです、私のことは解体して新たな私を手に入れてくださいとあのマスターに言えますか? そもそもこうなっていることすら言えるわけがありません……、それに……そう長くなってしまいましたが、これがあなたにしたい相談なのです。何事も限度があります、彼らが射精できるのもそうです、常に同じ濃度というわけでもありません。しかし薄い精液では、欲求をいたずらに刺激するだけでして。
「安定して濃厚な精液を摂取するにはどうしたらよいでしょうか?」
「知らん」
少しは考えてくださいと顔をしかめるパラケルススに、しかめたいのはこちらだと小次郎は溜め息をついた。まこと知ったことではない。そんなことに巻き込んでくれるな、と非難の目を向けるも、パラケルススは気付かぬふりをして「この通りですから」としおらしく身を寄せてくる。
「私は不能だ」
「それは残念」
ぱっと体を引き離してパラケルススは、どうしましょうねと口にする。調子のいい男だと小次郎が鼻を鳴らす。こんな男だったろうか、異常な事態が起こったせいで変な方向に振り切れてしまってやいないだろうか。「どうしようと言われてもな」と言い出すと同時に、明るい声が部屋に押し入ってきた。
「わりいわりい! マスターに頼まれて森でキメラ狩りしてたわ!」
「殺されましたか?」
「あー? 傷すらおってねえよ」
跳ね返った髪をかきあげながら「待ったか」と聞いてくる若い男こそ、小次郎の待ち人そのひとである。
鼻を数度ならすと、パラケルススと小次郎を見比べてから、僅かに眉を顰めた。
「あんたらヤったの」
「おぬしこの身がどうか知っているだろう」
「や、だからそこのキャスターがあんたにさあ」
「一物すらありませんよ」
「はーァ?」
じゃなんでこんなクセぇの。と小次郎を抱き寄せて、頭に顎を乗せる。体重をかけて伸し掛かってくるクーフーリンの脇腹に、肘を入れるもまったく堪えた様子はなかった。小次郎が目配せすると、パラケルススはその身に起こったこととこの部屋でしたことを簡潔に説明する。気の抜けた声を出して、そら大変だ、というクーフーリンは「先こされちまった」と続けた。
「きさま……」
「だっていつも同じような場所だからよ、たまにはこう」
「丁度良い、こやつで供給すればよいだろう」
パラケルススは目を瞬かせて、構いませんがと躊躇いがちに口を開く。
「あなた達は特別な間柄なのでは?」
「いやあ?」と小次郎が首を傾げると、クーフーリンも同じ動作をする。
このふたりも、己の状況とさして変わらないようなことになっているのではないだろうかとパラケルススは頭を振った。だが、申し出としては有り難いとクーフーリンを伺うと「構わねえよ」と頷いた。小次郎を解放してパラケルススの前に立ったクーフーリンは、躊躇う事なく腰の防具を外していく。パラケルススは跪いて、ファスナーに指をかけた。
「どこ行くんだよ」「何処、とは。修練場に決まっているだろう」「んだよ待っててくれたっていいだろ」「分かった、分かったから髪を離せ。手繰るな」二人の会話を流し聞きしながら、パラケルススは汗臭さの強い性器を口に含む。口内に溢れ出した涎を擦り付けるように裏筋を舌でなぞり上げ、カリ首に歯を軽くひっかけてから鈴口を舌先でつつく。ぢゅぷっ、ぢゅぽ、と音を立てるように吸い付いていると、元よりそのつもりだったからなのか直ぐさまに大きく反り返りはじめた。
「あっ♡はむっ♡ん、んぐ♡ぢゅぷ、ちゅ♡」
じわりと滲みだした汁が、すっかり馴染んだ苦さを舌に伝えてくる。脳が奥からゆっくりと溶けていくのを感じながら、パラケルススはいっそう強く性器にむしゃぶりついた。その様子を小次郎がややげんなりとした様子で眺めている。
「はあ、外にいるぞ」
「アア? ちょっと待ってくれよ」
「先にいくわけでない。構わんだろう」
「よくねぇって、クッソ、すぐ終わらすから動くなよ!」
クーフーリンは吠えるように言うやいなやパラケルススの髪を引き掴んだ。
「んっぶ?! う”〜〜〜っ!!」
ギリギリまで引き抜かれた性器が勢いをつけてを抉り込んでくる。ガッポガッポと音を立てながらカリ首が上顎をけずりあげ、口蓋垂さえ押しつぶして亀頭が喉を割っていく感覚に、パラケルススの下腹部が熱くなっていく。呼吸がままならない、鼻水を垂らしながら手で腰の動きを押さえようにも、パラケルススの力では無力に等しかった。
「おぼっ♡お”、っア”ォ”♡」
口から溢れ飛沫するものが、己の唾液であるのか、カウパー液であるのか分からないままパラケルススは茹だる熱に脳を溶かされている。荒い息を頭上で聞きながら、捲り上げられる舌を必死に動かして口内を蹂躙する竿に押し付ける。浮き上がった血管が舌の上をぐにぐにと移動し刺激している。「へぶ、は、はっ、はぐぅ♡」鈴口から僅かに溢れた精液を感じると、パラケルススは縋り付くように腕を回す。ごつごつと喉を痛めつけていた亀頭がいっそう強くぶつかると、うめき声と同時にびゅくびゅくと熱いザーメンがぶちまけられた。クーフーリンの腰を掴みながら、パラケルススは最後の一滴までしぼり尽くそうと口を窄める。ぢゅるるるるる、強く音を立て吸いつきながらどろどろとしたザーメンを飲み込んだ。
「ん——♡ぢゅぽ♡っく、はふ♡は—〜♡♡」
さきほどの局員のものなど目ではないほどの濃いどろついたザーメンが、胃の中を暖めているのを感じるようだ。べとべとに濡れた口周りを舌で舐めながら、鼻をすする。
「ありがと……ございました……♡」
「つーか、あんたさあ」
クーフーリンが防具を再び身につけながら、呆れた顔で呟いた。
「あいつ、アーラシュと同じ部屋だろ。頼めばよくねぇ?」
「言われてみればそうだ、気付かなんだ」
小次郎もはたと思い出したような顔をしてから、パラケルススにどうだと問いかける。いまだ荒い呼吸を繰り返していたパラケルススは、惜しむように唾を飲み込むと「ですが……」と困惑した声を出す。
「あのひとは、偉大な大英雄ですよ」
「これとそれは関係ないと思うが……」
「大英雄様も朝勃ちすんだろ。起きる前にやっちまえばいいんじゃねーか」
早くこの場から出ていきたいのであろう、小次郎はやる気のない声で「そいつは妙案、おぬし冴えているな」と投げやりに言った。
同室であるといっても、パラケルススとアーラシュはあまり顔を合わせなかった。パラケルススが多くの時間を工房に引きこもっているからだし、たまに帰るとしても日中であるせいか、その時間アーラシュは部屋にはいないからだ。ふたりが言った通りアーラシュに頼るということを、考えなかったわけではない。食堂で顔を合わせたときや、シャワールームから出てきたアーラシュに会う度に、精液が濃そうだと思わなかったわけでもない。しかし、救国の英雄とまで言われている男に、まさかザーメンを飲ませてくれなど、頼めるものであろうか。いや、局員に頼んではいるのだが。結局パラケルススは、アーラシュに気後れしていた。だから日も登らぬ早朝に、自室の前で悩み立ち尽くしている。どうしましょう、と。しゃぶっている途中に起きられたら、いやいやそもそもしゃぶると決めたわけでは。それにまだ朝勃ちしているか分からないし。
……アーラシュのザーメンはどのような味がするのであろうか?
アーラシュは自慰をするのであろうか。滅多にいないのだ、彼も彼のタイミングでしているのかもしれない。あの逞しい体を熱くさせながら、アーラシュが己の性器を擦り上げている姿を想像してパラケルススはごくりと喉をならした。太い眉をひそめて、息を押し殺して、濃厚な精液を吐き出している姿だ。つっーと口から涎が溢れた。もういい、どうにでもなれだ、パラケルススは扉を開けてそっと部屋へと入った。
間接照明すらつけられいない部屋は暗闇に包まれている。魔術で補整した視界でベッドへと静かに近づくと、アーラシュが寝息も立てずに横たわっていた。輝く黒い瞳は閉じられて、朗らかな笑顔も浮かんでいない顔は、まるで別人のようだ。パラケルススはそっと視界をずらして、下半身を見遣る。薄いシーツを押し上げて、東方の大英雄はしっかりと勃たせていた。震える手を撫でて動悸を出来るだけ抑える。数分経ちようやく震えなくなった手を伸ばし、シーツをゆっくりとめくる。
「ッ——?!」
全裸だ。
ああ、太古の生まれだから。パラケルススは妙な納得を胸に湧かせながら、落としそうになったシーツを握り直して完全に取り払う。自身の体と違いどこまでも鍛え上げられたその体は、彫刻のように見事なものだ。だが用があるのはそこではない。ベッドに乗り上げてアーラシュの足をまたぐ。眼前で雄々しくそそり立つそれへの期待なのか、際限なく唾液が滲みでてきていた。根元で生い茂る陰毛を指先でくすぐってから、太い幹を指で囲う。逸る息のまま、亀頭へと涎を垂らす。生温いパラケルススの涎に触れ、包まれるとぴくりと反応を示した。
「では……いただきますね」
パラケルススは身を屈めて、伸ばした舌でかかった涎を広げていった。ぬちゅぬちゅと音を立てながら、亀頭を舐め回して、カリ首を舌先でくすぐっていく。びくびくと震えだした性器に気を良くしながら、裏筋をなぞっていく。近く顔を寄せたからか、むわっと強い雄臭さが鼻孔をくすぐった。口を開き陰嚢へと吸い付きながら、指で幹を擦り上げる。
「あむっ♡ふっ、んん♡ちゅぷっ♡」
転がすように口の中で遊びながら、軽く歯を立てると、とぷっ♡と鈴口からカウパー液が溢れ出した。一段と強くなった臭いに興奮しながら、ちゅうちゅうと吸い付いて、引っ張りながら口を離す。パラケルススの涎でべたべたになった陰嚢は、べちりと音を立てて元の場所へと収まった。「はふっ」根元にキスをして、舌を押し付け舐める。性器に浮き上がった血管を舌で感じるのがパラケルススは好きだった。びきびきと音を立てるかのように硬さを増した性器をなだめるように、何度も舌で舐め上げていると「う、」とアーラシュが小さく呻いた。パラケルススはハッとなり、堪能している場合ではないと思い出す。起きる前に射精させなければならないのだ。
「ん、はむっ、ぢゅりゅ♡」
口を開いて亀頭をくわえこむ。舌先で鈴口をぐりぐりと抉り込むと、どぷりと汁が溢れる。口内へ一気に広まった雄の臭いに、パラケルススは脳が焼き切れそうな興奮を覚える。口内を動かして頬肉すら押し付けながら、アーラシュの性器を飲み込んでいく。ぐぼっ、ぶぢゅ、と音が立つが気にしている余裕はない。「ん——〜♡ぶっ、んんっ、ぢゅっぢゅるるる♡ふぶっ♡」頭を動かし、舌で裏筋をくすぐり、陰嚢をきゅうきゅうと揉み解す。口の中でビクビクと震えながら、アーラシュのものが大きくなっていく。鼻孔いっぱいに広がる雄臭さに、臍の奥がじんじんと熱を持ち始めた。はやく、はやく出せ、と念じるようにパラケルススは性器を扱き上げる。
「っ、う”——!」
アーラシュの低いうなり声がすると、手が力強くパラケルススの頭を押さえ付けた。(きたぁ!♡)パラケルススが喉を締めつけると、ビクンっと腰が動いてこれでもかと熱いザーメンがびゅるびゅると注がれる。「—————〜〜ッ♡♡♡」口から溢れそうになるほどのザーメンを零さぬようにしながら、アーラシュの手をどかし、性器を引きずり出す。根元から押し上げるように指を動かすと、残っていたザーメンがぐぷっと音を立てて溢れ出た。それすら啜り上げて、パラケルススはゆっくりと含んだザーメンを口内でゆすぐように動かした。ぐちゅぐちゅと音を立てる濃厚なそれを、歯でこし、舌をつかって歯茎や頬肉に擦り付ける。
「んっ♡ん♡」
少しづつ味わうように飲み込む度に、体が震えて正気を失いそうになる。どろどろとしたザーメンは喉にへばりつきながらも、食道を通って胃に落ちていく。そのじれったい動きすら快楽であった。やがて全て飲み込むと、パラケルススは熱い息を体の底から吐き出した。
「あ————っ♡おいし、い♡」
「そいつはよかった」
低い声が耳をくすぐる。パラケルススは浮ついた意識のまま、声の方を見る。鋭く、射貫くような目が開いていた。起きてる。
「あ、」
よく考えなくともあれだけして起きない方がおかしい。アーラシュは起き上がって、パラケルススをじっと見つめていた。
「あの、これは……」
「歯に毛が挟まってる」
「え」
伸びたアーラシュの手が遠慮なくパラケルススの顎を掴んで口を押し開く。太い指が突き入れられ、ねばついた口内をぐちゅぐちゅと音を立てて擦り上げた。「んひっ!」ぞくぞくとしたものが背筋を駆け上がる。
「ほら、取れたぜ」
引き出された指は、黒く縮れた毛をつまんでいた。てらてらと涎で濡れた指に、パラケルススは落ち着かなさを覚えたが、いまは興奮している場合ではない。アーラシュの目はそらされることなく、パラケルススに合わされている。気まずさと恐怖から逸らして下をむくも、そこには散々しゃぶりつくしたアーラシュの性器があったので、ますますいたたまれなくなった。
「……あなたを、襲うような真似をして、すみません、」
「襲われたんだがな」
「あなたを襲って本当に申し訳ありません……」
息をする度に、胃の底から飲み込んだザーメンの臭いが迫り上がってくる。パラケルススはいたたまれなさと臭いからくる興奮で目を潤ませた。半分以上は興奮からだ。アーラシュは考えるような素振りをした後、パラケルススの腰を抱き寄せる。ひっ、と声を上げて、慌てて厚い胸板に手を置く。
「あの、」
「説明してくれるか」
アーラシュの手がパラケルススの服にかかり、ずるりと脱がされていく。混乱のまま短い言葉を繰り返すパラケルススへ、アーラシュは先ほどよりゆっくりと、説明しろと口にする。熱をもった己の体よりも、ずっと熱い手の動きに困惑しながらパラケルススは口を開いた。
「わたっ、私の体がおかしくなっ——ひっい! えっ、あ、あの、ちょっと」
「いいから、説明してくれ」
「けどあっああ! やっ、やめ」
「おまえは寝てる俺を襲ったんだ、きちんと理由を説明すべきだろ。ほら、」
「はひっひっ、あっあう! あ、わ、わたっおかしくなって、ぇっ」
「うん、何がおかしくなったんだ」
「そこだめで、すっ、あっあっ! なに、なん、でぇ…♡あううっうあ! あ!」
「おかしくなったことと、俺を襲ったのはどう繋がるんだ」
「あ”——〜っっ! あっいいまっ、いいますからあ! そこっひっ!ひい! すらないでくだしゃ〜っ! あっあああ! おっおかしくな、って、あ”♡あひ♡や”やだあ! あっあ”ッ♡だめっ♡だめですっ♡ひろげないっ、でっえ♡アッああああああ♡♡」
「説明が止まってるぜ」
「うごかしゃ♡っでう♡う”あ”——♡あっ! いいまひゅ♡りゃからっ…やめ”♡せっ…せいえきっ! のみたいってえ♡っ——!♡」
「なるほど、とんだ災難だ」
「や”う”ぅ——ッ! あ”———ッ♡かきまわしゃっ…ッ、ないれっ!♡りゃめっ♡りゃめなのッ!♡ひぐぅ♡」
「そうさなあ、思うんだが、」
「あ”——————〜〜〜〜っ♡♡♡あっ♡ああっ♡」
「種を呑むってのは、ここでだって構わんのじゃないか」
「ぁ……ひぃっ♡」
ぴたりと止まったアーラシュの手に、パラケルススは大きく体を震わせてから息をつめた。とろとろに解された後孔からこぼれた汁が太腿を伝う。ぼやけた視界に、そそり立つ赤黒い性器が映り込んだ。孔をひくりとぱくつかせながら、パラケルススは唾を飲み込み頷く。
「のませて…っ、くだしゃ、い♡」
流し素麺をしようという提案を誰がしたのか、広い廊下に割った竹を繋ぎ合わせてつくった台の前で、勢い良く滑ってくる麺を箸でつまみとる。つゆにつけこんだ麺を啜り上げている小次郎の横で、また麺をつまみ損ねたクーフーリンが唸るような声を上げた。
「やあ、おふたりさん」
快活な声がかけられる。つるりと麺を吸い上げながら小次郎は振り向いた。
「お前達には迷惑をかけたらしい」
頬をかきながら、迷惑かけたなと頭を下げるアーラシュに返事をしながら、また流れてくる麺を掬い上げる。「迷惑という迷惑でもなかったさ」と言う小次郎に「そういってくれるとありがたい」と笑いかけてから、アーラシュはクーフーリンへと向き直る。
「問題は解決したから、お前の世話になる必要はなくなった」
それだけ伝えにきたと言って早々にアーラシュは去っていった。足りなくなった生姜をつゆへ足して再び麺を啜りながら、小次郎は肩に肘を置いてきたクーフーリンに目をやる。いぶかしむ表情を浮かべながら、小次郎と目を合わせると麺のつけられたつゆに手を伸ばしてきた。仕方なしに手にしていたものを交換してやる。
「なんだありゃ」
「決まっておろう、牽制よ、牽制」
「へーえ」
また一塊の麺が流れてきた。すっと水から取り上げてつゆへとつけ込むと、クーフーリンはなんともなしといった風に「あんた取るの上手いな」と言った。つるつると啜る麺に、色付きのものが一本まぎれ込んでいた。箸でつまみ、隣りの男のつゆへと入れてやると、なんだよと声が上がる。小次郎は笑いながら「色つきだ」と次の麺を掬い上げて言った。